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ちょっと知的な雑学&トリビア

国字

2001年8月30日 【コラム
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 山を上へ下へ行く「峠」。雨が下に落ちる「雫(しずく)」。神様に供える「榊(さかき)」。よくできた漢字だと思っていたら、これらは日本でその意味から作り出された和製の漢字、つまりは国字だという。
 中国にない事物を表すときや、漢字で表現しにくい概念を表すとき、記述が冗長になることを避けるため、新しく漢字が作られてきた。それが国字だ。新井白石が『同文通考』で取り上げたのが81字なのに対し、在野研究家の大原望さんがデータベース化している国字は2700字。これまで知られてきた以上に、多くの国字が考案されてきたらしい。
 一般に国字は訓読みだけで音読みがないとされているが、「腺」や「鋲」は訓読みだけだし、「働」には音読みも訓読みもあるので、かならずしもそうと限らない。
 また、たとえば明治時代に人力車を指すものとして用いられた「俥」のように、一般に国字と思われていながら、じつは中国生まれの漢字というケースもある。たしかに人力車の意味で使うのは日本だけだけれど、13世紀頃、中国の将棋の駒を表すのにすでに用いられていたのだとか。
 国字は、樫(かし)など草木に関するものや、鰯(いわし)、鱈(たら)など魚にまつわるものにも多い。鱈の字は中国に「輸出」されてもいる。昔の人は、身のまわりの自然を漢字で表そうと工夫を重ねたのだろう。
 新しいところでは粁(キロメートル)や瓲(トン)など単位を表すものも知られている。もっとも最近では、パソコンで表記できる文字が限られていることもあって、新しい文字を作ろうという工夫もあまり見かけなくなった。ま、顔文字なんてのは新しい国字かもしれないけれどもね(^_^)。

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11 comments to...
“国字”
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小橋昭彦

国字については、「和製漢字の辞典」をご参照ください。また、漢字に関して、「文字鏡研究会」も有益です。


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ASH

ツッコミで申し訳ないです。
「ビョウ」と「セン」は音読みだけということですよね。

良く寿司屋の湯飲みに書いてある魚の漢字は眺めているだけで楽しいですよね。由来を考えたり。
まさに酒の肴<落ちてない


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今枝博和

毎回楽しく拝見させていただいております。
漢字の読みについてのコラムを見て生前祖父が言っていたことを思い出しました。「晒(さら・す)」と「泊(と・まる)」という意味の異なった2つの漢字。字体をみると西に日が沈んだら「とまる」のであって水につけて白くなるのが「さらす」じゃないのだろうか?どこかで読みと体が入れ替わったように思いませんか?


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たろー

糎はセンチメートル、粍はミリメートル。

ん、3割3分3厘3毛 = 0.3333 なのに何で
 米+厘=0.01メートル、米+毛=0.001メートル  なん???

ってむかし思った。調べてみたら意外なことを知ってしまった、というか学んだのでした。でも学校では 1厘=0.001 って習ったからなぁ。

うーーん、このことってみんな知ってるのかなぁ。
(知らなかったのはひょっとして俺だけ???)


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小橋昭彦

ASHさん、ありがとうございます。そのとおりです。訂正させていただきます。

>「腺」や「鋲」は音読みだけだし、


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たろー

何で 米+厘=0.01メートル? って思ったときのこと。

そういえば 「九分九厘問題ない!」 っていうのもおかしいよなぁ
と疑問に思ったものでした。
「9.9%問題ない!」 って実は大問題じゃん!!

でも見事解決!!

何ておバカな俺なんでしょう。。。
日本語って難しいね。


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Nick Yoshida

国字…大変面白く読みました。ここではその反対に中国人が用いる当て字を紹介します。
朱古力士…チョコレート
三文治…サンドイッチ
美利加…アメリカ
多倫士…トロント
加奈多…カナダ
又、鮭の字は漢字ですが、南中国からの移民が多いトロントでは、鮭の字を知らない中国人が大部分です。因みにここトロントの中華街の魚屋さんは「三文」と書いてサーモンと読ませていました。


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Nick Yoshida

たろーさん、今日は。
そういうのを「一貫三百どうでもいい」って言うんだよね。アーッ、尺貫法が懐かしい。メートル法では冗談にもなりません。
エーッ、「1.3キロどうでもいい」…この辺でやめましょう。

Nick


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TAMIRO

 >ま、顔文字なんてのは新しい国字かもしれない
 >けれどもね(^_^)。

 顔文字って日本人だけしか使わないのでしょうかね?
表情は万国共通でしょうが・・・。
(-_-; ・・・通じるかな。


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小橋昭彦

ほかの国はわかりませんが、英語の場合は、:-)のように横置き(というのかな)が中心ですね。日本の顔文字はだんぜん豊かだと思います。

顔文字については、「顔文字のページ」に詳しいです。


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オコジョ

 何時も楽しくかつ感心しながら読まさせてもらっています。 

 お米の刈り取りお疲れさまでした。 
 今年の作柄は、いかがでしょうか?
 虫の音 すすきの穂 萩の花 栗の実 確実に秋はやって来ます。
 新米 栗きんとんなどが食べたいと思うこの頃です。

 
 




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 俗な話題をとタイトルから思われたかもしれないけれど、地球を守る話なのである。 げっぷとおならといっても、家畜のそれ。家畜が出すげっぷやおならが原因のメタンガスによる温室効果が、あんがい無視できないのだ。畜産大国ニュージーランドを例にとれば、人口380万人のところ、羊4600万頭、牛900万頭。同国で排出される温室効果ガスはメタンガスが44%を占め、そのかなりの部分を羊や牛などの反すう動物が出すげっぷやおならが占めているという。 ニュージーランドでは家畜のげっぷ、おなら対策を進めており、消化器内でメタンを作るバクテリアを抑制したり、消化されるときメタン生成の少ない牧草を開発したりしているという。 もっとも、全世界に占めるニュージーランドが排出している温室効果ガスの構成比はほんのわずか。メタンは水田からも出ているから、ニュージーランドの家畜をいうなら、日本もひとごとではない。 家畜にしろ、水田にしろ、もともとは人間が自分自身の必要で飼ったり耕したりしてきたもの。いまさらげっぷをするなといわれる家畜も、とんだ災難ではある。 ひとあし早い稲刈りを終え、田を見回す。有機ゆえその水田は家畜にもお世話になっていたわけで。緑の山々に囲まれた里を見回しつつ、なんだか複雑な気持ちになるのでした。

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 今日は最初に1分ほど時間を。目を閉じて、あるいは紙と鉛筆を手に、あなたなりの妖怪を作っていただけませんか。姿かたちと特徴を決めて、命名もどうぞ。 さて、いかがでしょう。 じつをいうとこれがけっこう難しく、ぼくも頭が堅くなったなあ、とちょっと落ち込んだ。純粋にトシのせいならいいけど、時代のせいで、みんながみんなそうだってことはないだろうな、と思った次第。このところ妖怪人気のようだけど、皮肉にも妖怪のすむ土壌は、世の中からなくなった気がしてしかたないのだ。 このほど新たに見つかった江戸時代の絵巻から、新顔の妖怪があらわれたという。波が竜の形となった波蛇(なみじゃ)、牙と角をもった蟹鬼(かにおに)、渋い顔をした充面(じゅうめん)。有夜宇屋志(うやうやし)や真平(まっぴら)なんてのもいて、説明はないけど、さてどんないたずらをするのか気になる。 これら妖怪の数々に、豊かなもうひとつの世界があったことを思い出す。天狗や河童から児啼爺 (こなきじじい)まで、日本にはかつて数百という妖怪が住んでいた。ぼく自身、田舎に暮らした少年時代は、妖怪世界の隣にいたのではなかったか。闇の中、風にせせらぎのような音をたてる竹やぶ、すすだらけの屋根裏の奥にかさこそと這い回るなにものか。 妖怪が身の回りからいなくなったのは、闇がなくなったことと無関係ではないだろう。ぬばたまの夜なんて言葉も今はほとんど聞かれず、世の中リアルな恐怖ばかりで妖しさは薄れてしまった。 それにしても、追い出された妖怪たち、いったいどこに行ったのか。満員電車の片隅やマウスの下にでも隠れていないか。

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