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ちょっと知的な雑学&トリビア

音で解決

2001年7月30日 【コラム
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 モーツァルトを胎教音楽にするとか、栽培野菜に聴かせて生育をよくするという話はしばしば聞くが、犯罪抑止にも役立つらしい。
 米フロリダ州の犯罪多発地域で地元警察がモーツァルトなどのクラシック音楽を流したところ、昨年前半119件だった事件通報が、今年前半は83件まで減少したという。音楽を流し始めたのは4月以降だから、年初から流していたらもっと減っていたかもしれない。
 音の効果という連想で、アクティブ・ノイズ・コントロール技術を思い出す。騒音を音で消すという逆転の発想。従来の騒音対策は二重窓にしたり壁を厚くしたりと、いわば受動型の手法だったのだけれど、アクティブ・ノイズ・コントロールは、こちらから音を出して退治しようという能動型の対策だ。
 音にはそれぞれ固有の波がある。そこで騒音の波形を分析し、逆の形をした波をもつ音を発生させる。するとそれらが打ち消しあい、騒音が減るというわけ。原理そのものは古くから知られていたけれど、80年代から90年代にかけて、技術の発展によって商品化されるようになった。
 すでに高級車のエンジン音の低減や、空調ダクトの消音などに利用されている。最近になって高速道路などの壁に取り付ける商品も開発されたが、一般的な遮音壁にくらべ、交通量を6割程度減らしたと同じ効果があるという。
 犯罪抑止と騒音対策。それぞれに違う音の利用法ではある。それでも、相手にまともにぶつかるんじゃなく、違う発想からとりくんだり、逆をついたり。どちらもなんだか人生訓のようでもある。

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3 comments to...
“音で解決”
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小橋昭彦

騒音対策については「日本騒音制御工学会」「日本音響学会」などをご参考に。アクティブ・ノイズ・コントロールについては、「ハイテク騒音対策」「ASJのQ&A」などをご参考に。その商品化は、「東京都」「松下電器産業と本田技研工業」「新日本空調と日本車輌製造」などで発表されています。


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いっこ

 音で解決で思い出したことがあります。ずれているかもしれませんが、自然の気です。昨年、ある画廊のオーナーのミニ講演をうかがいました。疲れたら、街でも公園でも木にしがみついてパワーをもらっていると言うのです。私も昨夏、仕事で白神山地のブナの原生林を訪れました。残業続きで体調は良くなかったのですが、1時間も散策しているうちに、とても元気になったのを感じたのです。この空気、この樹木から発せられるもの・・・まさしく癒しでした。こんなに気持ちいいと感じたのは何年以来だったでしょうか?
 音にしろ見えるものにしろ匂いにしろ、私達は環境に大きく影響を受けて生きていると思いました。
 


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やん

 はじめまして。
 ちょっと質問です。本代の前の部分についてなのですが・・・

> 米フロリダ州の犯罪多発地域で地元警察が
> モーツァルトなどのクラシック音楽を流し
> たところ、昨年前半119件だった事件通報が、今年前半は83件まで減少した

とのことですが、これはどこで流されたのか御存知ありませんか。
 例えば、留置所とか、街頭とか、ラジオで頻繁に流すようにしたとか・・・
 それか、この事がまとめられた記事や論文はありませんか。
 よろしくお願いいたします!




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 夏の一日、百貨店で行われていたおもちゃの歴史展に出かける。会場に並べられたブリキのおもちゃの数々が懐かしい。不思議だ、ぼくが子どもの頃には、時代はすでにブリキからプラスチックや超合金に移っていたはず。これがブリキの持つ魅力というものか。 日本におけるブリキのおもちゃの歴史は、明治にはいってほどなく始まる。その後大正時代にかけて、世界でそれまで主流だったドイツ製に代わって日本製のブリキ玩具が注目されるようになり、昭和に入って1930年代には質、量とも世界第一のおもちゃ生産国になった。戦前の玩具輸出最高額は1937年に記録した4200万円だ。 大戦がはじまり、ブリキ玩具は製造できなくなり後退したが、戦後、進駐軍の持ち込んだ缶詰の空き缶を再利用して製造することから復興を果たす。占領下の日本(Occupied Japan)製と刻印されたおもちゃが世界に輸出された。 日本のおもちゃは現在も世界で注目されている。といっても、やはりいちばんはテレビゲーム機。国内のおもちゃ売上ベスト10をみても、テレビゲーム関係が多く登場する。 じつをいうと、テレビゲームをおもちゃと呼ぶことがどうもしっくりこなくって、ふとおもちゃの語源を調べてみた。もともとは「持て遊び」で、手に持って遊ぶという意。それが「もちゃそび」、接頭語オがついてオモチャである。手に持って遊ぶか。確かにテレビゲームもコントローラを手に持ちはするけれども。 展示会の帰り、子どもにせがまれてというよりは親が欲しくって買ってしまったブリキのおもちゃを手に、ふと、これは箱から飛び出しそうだな、と思う。人が寝静まったあと箱から飛び出して踊るという、あの歌。テレビゲームはどうだろう。箱から飛び出してこそ、おもちゃじゃないか。

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