地元で里山ウォークデイなるイベントをここ数年企画し行っている。ウォークといっても道順が決まっていたりガイドがつくわけではなく、集落の地図を片手に自由にのんびり歩いてくださいと、そういう一日だ。民家も開放されているから、縁側でお茶したり、しめ縄を編んだり、農作業を手伝ってみたり、いわば里帰り気分で楽しめる。
先日、観光関連のセミナーを開催したとき、エコミュージアムに詳しい吉兼秀夫教授が、観光は「みる」から「する」「しる」と魅力を追加してきて、「ひたる」時代になっていると話されていて、確かにそうだとうなずいた。ひたるというのはつまり、お客さん気分じゃなく、現地に溶け込んで同じ立場でその土地を経験することで。
1962年、ブーアスティンという学者が『幻影の時代』で「擬似イベント」という概念を提唱した。報道や宣伝物などの情報伝達手段によって作り出されたイメージとでもいった意味合いだ。日本といえばフジヤマ・ゲイシャなんてのもその一種だろう。観光で言えば、観光パンフや名所案内番組などが擬似イベントを創出する。そして観光客は「ああ、イメージどおりだ」というところに旅の喜びを感じていた、と考えるといい。
でも、旅にはそうじゃない楽しみもある。伊勢志摩へのイメージを旅の前と後に尋ねた調査によると、旅の前には33.4%あった「真珠と海女」が旅行後には13.3%に減少し、逆に「素朴な人情」が2.2%から9.9%に上昇している。真珠と海女はまさに擬似イベントだろうけれど、素朴な人情というのは、旅館経営者側が魅力としてあげていたもので、旅という経験を通して、観光客と提供側のイメージがすりあわされたと言える。そんな、いい意味で期待を裏切られる経験も旅の楽しみのひとつ。
今年、地元での里山ウォークデイは10月2日。来訪者と出会うことは、地域の人のまなざしも変えていく。今年はどんな出会いがあるのだろう。どんな発見があるだろう。
伊勢志摩についての調査結果は、前田勇『観光とサービスの心理学』より引用しました。観光学というのがあって、『観光学入門』がまとまっており、その他「観光学ドットコム」などご参考に。
文中で述べましたが、今年、10月2日(日)に里山ウォークデイを予定しています(どんなものかについては、「昨年の案内」をご参照)。同日、集落内にあるわが家で読者交流会を行います。よろしければ、あわせてご家族でご参加ください。東京方面からだと、宿泊が必要になります。農家民宿「みのしょうの里」が近くです。小橋に聞いたってお伝えください。割引があるわけじゃないけど、話のネタくらいにはなるかも。
伊勢志摩取り上げてくれてありがとう
旅行前のイメージで素朴な人情が2.2%しかないということが、現状の伊勢志摩を表してるなあ。。。
広告宣伝方法を見直すべきだとは俺も思ってます。
真珠なんかのイメージではこの時代を生き抜けないよ。
受動から能動へ。修学旅行で一番記憶に残っているのが
宿での枕投げというのと一緒なのでしょうか。
ただ、地方の観光という点では、今回の文はかなり違和感があります。
私の実家も田舎の観光地ですが、都会の人が、田んぼや
農村を見て自然を感じるというのが不思議でなりませんでした。
『農薬いっぱいの田んぼや、下草を刈り払った林の何処が自然なの?』、『田舎を体験しに来たのなら虫や臭いはあたり前じゃないの?』
結局、田舎を体験するといっても、都会の人がイメージに合う『田舎』を疑似体験するという本質は、同じだと思います。
民宿が「素朴な人情」が売りというのも結局は逃げだと思います。
田舎料理といえば聞こえは良いが、味付けや調理法はどこも一緒で、中の材料が少し違うぐらい。部屋の模様替えも殆んどしない。お金を掛ける必要は無いが、もっと経営努力が必要だと思います。
最後に、里帰り気分を楽しみたいなら、里帰りすればよい。ふるさとが無い人だって、親戚ぐらいはいるはずなんですけどね。
ウチは 全員 東京生まれの東京育ちです。でも どこの観光地に行っても 東京とあまり差はないと思います。
情報伝達のスピードと多様さのせいでしょうか。日本全国が均一化されていると感じます。
「里帰り」なんて考えたコトないナ0。
鉄道趣味いわゆるテツである私は、特に鉄道を利用するにおいて、パック旅行など考えたことがない。完全オーダーメイドでないと気がすまない。
高校の修学旅行で、学校側は何を考えたか、生徒に1日分の行程を考えてもいいと生徒に行程案を出させて、私の案が採用された。その時も明確なポリシーを持っていた。大人たちが、生徒の行程を決めるのに、何が分かるんだ。自分たちの年代でないと分からない部分がある、生徒全体が、必ずここに行って良かったと言わせるものを作ってやると。
完全オーダーメイド。オレンジレンジのタイアップ曲の作り方にも似ている。関連性のない、何かの映画・ドラマと曲を無理やりくっつけるんじゃなくて、原作・脚本を読破し、撮影現場まで足を運んで作り上げる。製作担当者がここまでやるアーティストは珍しいと絶賛するほどだ。映画「いま、会いに行きます」「花」と映画「電車男」「ラブ・パレード」がそうですね。
提案型営業。相手の企業に合った営業提案をしていく。直接タッチはしていないが、まあ営業が決めてきたことを現場できっちり形にしてやる方に関わっているが、企業が生き残る最後に残された営業パターンといっても過言ではない。