小橋 昭彦 2004年6月3日

 英国の科学博物館の来訪者に、ディスプレイ上に表示される点の数がその隣にある数字と一致しているかを尋ねた調査がある。2から3個の点の場合、回答に要する時間はおよそ0.5秒。こういう分け方は好きじゃないけれど、平均的に女性は男性より0.05秒はやかったという。この差は、点の数が5以上になるとなくなる。
 同じ実験からは、大きな数については、左目を使って数える方が簡単という結果も出ている。左目がつながる右脳で非言語的にとらえ、その後左脳で「ななつ」といった言語と結び付けているということだろう。それで思い出したのが、男と女では左右の脳をつなぐ脳梁の太さに差があるという話。女性のほうが左右の脳のやりとりが多くできる。点の数が少ない場合、まずイメージ的にとらえて言語に置き換えると考えるなら、女性のほうが回答がはやい理由として納得できる。
 エッセイを聞かせながら脳のはたらきを調べた産業技術総合研究所の実験によると、男性は左脳が主に活動していたのに対し、女性は左右両方の脳が活動していたという。男性は論理的に理解し、女性は感覚的な面も含めて理解しているということかもしれない。他人の外見を記憶するテストでは女性の方が高得点を得たという実験もあるし、単語を目にするとき、女性は単語の感情的な意味も含めて思い出しているともいう。
 記憶力を高めるには、まずは大きくとらえ、自転車乗りのように身体の手続きと一致させて覚えるとよい。女性は細かいところまで覚えているとよく言われるが、ものごとを柔軟に把握するから、心に刻まれやすいということだろうか。
 ともあれ。男にもいろいろあるし、女にもいろんなタイプがある。一様に男女に分けて多様性を見逃してはいけない。ただ、異性を叱責しそうになるとき、「そういうものなんだ」って心に余裕をもてるなら、男女に分ける考え方にも意味はあるのかなとも思う。

6 thoughts on “女と男と思い出と

  1. この手の話は数年前のベストセラー『話を聞かない男、地図が読めない女』で話題になりましたね。さて。科学博物館への来場者調査は、「Brian Butterworth博士」によるもので、博士のホームページ「The Mathematical Brain」に関連情報があります。日本語による解説は「男と女の計数法」でどうぞ。産業技術総合研究所の実験については「男と女の間には……!?」をどうぞ。他人の外見の記憶力は「WOMEN REMEMBER APPEARANCES BETTER THAN MEN STUDY FINDS」を、単語と感情については「Annett Schirmer博士」らによる「Sex differentiates the role of emotional prosody during word processing」をどうぞ。その他、男脳・女脳系の話題については、「男と女の性差はどこからくるのか?」「男の脳女の脳」「細かい事を覚えている女性の記憶のミステリー」もご参考に。なお、記憶力を強くする秘訣については『記憶力を強くする』を参考にしました。

  2. 小橋様
    いつも考えさせられる題材で楽しませてもらっています。

    先週のマジカルナンバーと、今週の「点の数が5以上では性差がなくなる」との記事で、昔読んだ記事を思い出しました。
    カラスも猟師小屋に入った猟師と出てきた猟師の数の違いを4人まで数えられるのではなかったか?と。
    すると人間とカラスもイメージ認識力は同程度かも?
    ちょっと、身の回りの動物に親近感を覚えました。

  3. カラスに続いてクジャク。

    「クジャクの雄はなぜ美しい?:長谷川 真理子」だったと思うのですが、クジャクの雌は、一通り雄たちを見て、目玉模様が一番多い雄のところへ戻ってくるそうです。(目玉模様は彼の免疫力の高さを示しているらしい。)クジャクが数を数えているはず無いのに不思議。

    でも、数えるより早く、雌は恋をするのです。笑。

  4. 小橋様

    男性・女性を比較して考えること自体、論理的な考え方であって、その個人が普段から、意識・無意識に右脳を働かそうとしているかどうかの結果であって、それを無理やり女性・男性と相対的に比較しようとする考え方に、ある意味では不真面目さまで感じます。男性が左脳を主に使うと判断した理由は、実務の論理展開は、まさに左脳を使って行うからです。女性ももちろん実務に就かれているわけで、実務者で比較すれば、女性・男性で大差は出ないはずです。そもそも、女性・男性をどのように選んで調査したかですが、その選別においても疑問を感じます。
     同じ実務者であっても、趣味が充実している人、リラックスが上手に取れる人、などによっても右脳左脳の使い方が違ってきます。
     今、実務者といっていますが、実は日本の教育は、江戸時代の寺子屋教育から左脳教育であって、子供たちにも、趣味が充実している人、リラックスが上手に取れる人などがあてはまり、教育以外の場に、右脳を働かす要素を求めなければならないという、ある意味矛盾した現状があります。右脳の働かせ方を、人に教わるんじゃなくて、自分から求めていく時代なんですね。

  5. 小橋さん、いつもありがとうございます。
    今回は気の利いたタイトルをつけようとし過ぎたのでは(笑)?

    確かに自分のまわりでも趣味と仕事の両立は女性のほうが上手で、
    この人がお母さんだったり妻だったりもすると思うと
    そのパワーに敬服してしまう。

    ・・・でもそれって性差? 「求められてきた役割」の差?

    私たちは自分と相手の個性の違いを「男女の性差」のせいにして、
    心の落ち着きを得ようとしているだけかもしれない。
    見えないワクに押し込められた相手は、たぶんすっきりしない。

    今の子どもたちだって、ワクにはめられることではなく、
    生の自分をそのまま見て欲しいと思っているのでは?

    左脳に偏った教育を受けた人は、それはそれで苦労するのだ。
    「直観力を鍛える」だの「脳のシェイプアップ」だの、
    なんだか、あやしげなブームが起こりそうなのも、
    そんな影響かもしれない。

    以上、私見ですが、皆さんはどう思いますか?

  6. 左右半球差で言える部分もある部分もあるかもしれないけれど、
    左脳は論理・右脳は情緒みないな単純な分け方をみな好み過ぎ
    ていると感じています。
    右脳の活動が高まり左脳がサイレントなとき、そのサイレントな
    活動(?)にこそ意味があるのかもしれません。
     

    でも、自己体験から言っても思考の性差ってあると思いますよ。
    #最後の一文はナイスですよ。

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