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ちょっと知的な雑学&トリビア

終わりの手触り

2004年5月12日 【コラム
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 ずっと気になっていた本がある。『アフターマン』というのがそれで、人類絶滅後の生物形態を描いている。出版当時高校生だったぼくには高くて買えず、その後書店では見かけなくなった。だけどなぜか、おりに触れ思い出すのだった。同じ著者がこのほど、2億年後の世界を進化論に基づいて描いた書籍を出したと知って購入。
 ページを繰る。魚が空を飛び、イカが地上を歩き回る。そう、こうしたリアリティのある細部を求めていたのだと納得する。絶滅と言葉では簡単でも、細部の、手触りとでもいった部分を感じたい。たとえば白亜紀にしても、隕石の衝突に伴う激変が恐竜を絶滅させたと一般に説明されるけれど、具体的にはどんな光景だったのか。
 科学者クリングとダーダによる、焼け焦げた地球というシミュレーション。恐竜たちを絶滅させた隕石の衝突地点はメキシコのチチュルブ・クレーターとされる。飛び散った物質の中には地球と月の中間地点まで達したものもあったという大爆発。それら破片が再び地表へ落下していく。落下物の熱によって植物は乾燥し、発火する。ことにチチュルブ周辺と、落下物が地球を半周して落ちる現在のインド周辺が激しい。地球の自転に伴い、そこから西側に向けて火災が広がる。世界の多くが燃え尽きた。
 白亜紀末の大火災から生命がふたたび立ち上がったのは、火災後の世界にも適応できる生き物がいたからだった。ぼくたち人類が滅亡した後も、この世界に存在する多種多様な生命のどれかが、新しい環境に適応していくことになる。そう考えていて、ふと気づく。ぼくが細部にこだわっていたのは、こうした、終わりの向こうに命をつなぐ多様性を見出したかったからではなかったか。未来への種は今にあるのだと、手触りを通して確認したかったからではなかったか。

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9 comments to...
“終わりの手触り”
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小橋昭彦

アフターマン』は残念ながら絶版の様子。ぼくはこの機会に原書『After Man: A Zoology of the Future』を購入しました。同じ著者による2億年後の世界を描く『フューチャー・イズ・ワイルド』はおすすめ。なお、David A. KringDan Durdaによる描写は「世界が燃え尽きた日 大絶滅と復活のシナリオ」という記事に詳しいです。


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つづき(元DIS)

アフターマン、子供の頃親にせがんで買ってもらいました。
中々インパクトありましたね、何も分からず読んでましたが。
あの本実家のどこかにあるはずです。
今度探してみようっと。


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ゆん

アフターマンの世界、確か去年、テレビで見ました。
寝ぼけながら見たのは、森林を歩き回る、というか、
おさるさんのように、樹にぶらさがって移動しているイカ。
なんか、不思議な感じでした。


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WIN

『アフターマン』も『フューチャー・イズ・ワイルド』もTVで見まし
た。
前者の本は、当時の自分には高くてやはり買えなかったです。
『フューチャー・イズ・ワイルド』はCGの進化もあり、TVで観ると
結構リアル。CSでは、今月から再放送してますね。
総集編みたいなバージョンは、お正月にNHKで放送してました。

出てくる生物達は、進化の予想から導かれるほんの一例なのでしょう
が、
以前書かれていた地下の生態系の例もあり、地球が無くならない限り
は生命は存在し続けるんだろうな、という気がします。
NHKスペシャルの『地球大進化』というシリーズも感覚的に近いもの
を感じます。


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散輪坊

還暦のおじさんは難しい感想は述べられません
毎週感心して読ませていただいています このサイトだけに没頭しているのかと思えばお子さんとも楽しくまた仲良く遊んでいらっしゃるようで 何時これだけの資料を仕入れるのだろうと読ませていただくたびに驚いています
 これからも楽しく拝見させていただきます


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踊る人形

「アフター・マン」は興味深いですね。神田の古書店で手に入るかしら?話の種に、また仕事のネタにも使わせていただくかもしれません。いつも有り難うございます。


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qs

アフターマン主白井!!


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ええ

えええええ


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通りがかった者です

初めまして。
他の検索でここに辿り着いたのですが、「アフター・
マン」は最近また出ました。
「フューチャー・イズ・ワイルド」と同じ“http://www.diamond.co.jp/index.shtml” target=
“_blank”>ダイヤモンド社
からです。
もしご存じでしたら、すみませんm(_ _)m。




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 大型の生ゴミ処理機を利用している。数ヶ月ごとに取り出して畑に。その畑で今、ナスやピーマンが芽を伸ばしている。不思議なもので、取り出した後は少量の残土にもみがらを加えただけなのに、その日からはや生ゴミは分解されていく。微生物の力。 ぼくたちの身の回りには多くの微生物がいる。1グラムの土の中に1億から10億とも。その1%さえ、ぼくたちは把握していない。大気中の二酸化炭素を吸収する海洋の微生物種が特定されたのが、ほんの15年ばかり前。生物学者チザムが発見したプロクロロコッカスは、たった一滴の海水に多いときは2万も含まれている。そんな身近で、しかもそれがなければ大気の二酸化炭素濃度が3倍になっていたのではといわれるほど重要な微生物なのに、長い間見落とされていた。 微生物は、ぼくたちの体内にもいる。たとえば口の中だけでおよそ500種。米国のゲノム研究者が、口内をこすりとって微生物のDNAを抽出したところ、遺伝子配列の4割以上がこれまで発見されたことがないものだったという。それら無名の微生物たちと健康や病気の関連も、研究が始まったばかり。 バイオレメディエーションが注目されている。微生物を利用して環境を浄化する技術だ。PCBや原油汚染などに利用できないかといった研究が進む。環境中の微生物バランスを崩さない配慮が必要だけれど、それ以前にぼくたちは、環境による浄化能力を超えた汚染物質を撒き散らしてきたのだ。 南アフリカでこのほど、35億年前に微生物が食事をした痕跡が見つかった。地球に海ができたとされるのがおよそ38億年前。それからほどなくして、微生物のようなちょっとばかり複雑な生命が誕生していた。その後、何度かの天変地異を生き延び、微生物たちは大気中から地下深くまで存在している。ぼくたちはようやく、この身のまわりの小さなものたちの声に耳を澄ませはじめたばかりだ。

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