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方位磁石の向き

2003年1月20日 【コラム
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 市販の方位磁石を見ていると水平に思えてしまう地球の磁場。実際には沖縄で約37度、帯広で57度強下を向いている。これがちょうど垂直になる地点がいわゆる磁極。これは北極点や南極点とはずれていて、この50年ほどの間にでも緯度にして10度くらい動いている。現在の北磁極は北緯80度近辺、南磁極は南緯70度近辺だ。
 地磁気変化のなかでもっとも大きなものは、極性の反転だろう。世界に先駆けて反転の事例を指摘したのは松山基範博士だった。その後の研究によると、地磁気の反転は平均すれば20万年ごとに起きていて、これまで知られているだけでも約1000回、1回おおむね1000年から1万年かけて起こっている。
 気になるのは次の反転だが、予測は難しい。最新の反転が78万年前と聞くとそろそろの思いも抱くが、5000万年間反転しなかったこともある。ただ、じつは過去150年で地球の磁場は急激に弱くなっている。このまま弱まると、1000年後には磁場が消えてしまう計算。これは極性反転への過程なのかもしれない。
 ハリウッドではさっそく磁場消滅をテーマにしたパニック映画を作ったようだが、さて極性反転の影響はいかほどか。過去の極性反転と大規模な種の絶滅との間に相関関係はなく、生物学的には反転を乗り越えるように進化してきたともされる。ただ、いわゆる生物学的以上に過剰なモノを生んできた人類のこと、それをふまえると心配もただ杞憂と言い切れない。なかにはハリウッド流に核爆発で磁場反転に歯止めをかけようなんて、ある種のパニックに陥る人もいるのだろうか。
 個人的には、ぼくたちが千年単位の地球変動の中にいるという考えは、むしろ心を開放してくれる。現在の状態はけっして永続的ではない。だからこそいまこの大地をいつくしみ、小さな今日を積み上げていこうと、そんなことを考えもしたのだった。

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6 comments to...
“方位磁石の向き”
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小橋昭彦

地磁気については、「地磁気世界資料センター京都」「気象庁地磁気観測所」などが定番。「地磁気」や「岩石に残る地球磁場の記録」の解説、また「地磁気の部屋」なども参考になります。「地球磁場の変動に10万年の周期的成分が含まれることを発見」は新しいニュース。なお、今春公開の映画公式サイトは「ザ・コア」へ。


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omote

地場逆転といわれて理解できないのですが、磁石のSとNが逆転するような事なんでしょうか?(南極と北極の磁性が逆転するということ?)
また、渡り鳥なんかは磁気をたよりに長距離移動をすると聞いた憶えがありますが、逆転したら迷子になることは無いんでしょうか?全く疑問だらけです。


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まみこりんご

目に見えないだけに
どんな影響が出るのかピンとこないですね。。。
ハリウッド映画を見れば
ちょっとはわかるのかな??


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小橋昭彦

onoteさん、はい、そういうことです。渡り鳥は困るでしょうし、人工衛星などもたいへんですね。

まみりんごさん、いちばん心配な影響は、磁場が反転したときではなく、反転の途中、磁場がゼロになるときでしょうね。磁場がゼロになると、宇宙線を防げませんので(人体に有害、放送電波その他に影響)。

磁場について、消化不良みたいなところもあるので、こんど続編を書きます。


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匿名

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バイク好き

私はバイク好きで高価なバイクを購入しましたが、盗難がとても心配です。PHSの位置検索を利用して防犯したいと思っていますが、磁石で車体に取り付けるつもりですが、PHSの電波強力な磁石に影響をうけますか。もしそうでしたらなにかアルミか何かのボックスに入れればいいでしょうか。お教えください。




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 その昔、ヒトは全身に毛をまとっていた。二足歩行をするようになって行動半径が広がったヒトは、脳が加熱するのを防ぐため、皮膚を覆う体毛を減らして体を冷やした。ところが皮膚を露出すると、紫外線が直接あたり皮膚ガンが誘発される。そこでUVカット機能を持つメラニン色素を蓄え、紫外線を防ぐようになった。ヒトの肌色が黒くなったのはこれが理由と、これまで考えられてきた。 しかし皮膚ガンになるのは生殖年齢を過ぎてからが多い。それが進化の淘汰圧になるのかという疑問が残る。そこでカリフォルニア科学アカデミーのジャブロンスキー博士らが提唱したのが、体内の葉酸塩を紫外線による破壊から防ぐためという仮説。葉酸は細胞の分化に関わる、妊娠や胎児の発達に不可欠の栄養素だ。赤道近くの厳しい紫外線の中で暮らした初期の人類は、肌色を濃くすることで子育てを有利にはこんだ。 その後ヒトは赤道近辺から離れ、北方へ進出する。そうなると、濃い肌色のままでは紫外線をカットしすぎる。紫外線には悪影響が多いが、皮膚内でビタミンDの合成を誘発する有益なはたらきがある。ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を促すので、母体と胎児の骨に必要。そこでヨーロッパ人などは、メラニン色素を減らし白い肌になった。 ちなみに、一般に男性より女性の肌の方が白いのは、男性が色白の女性を好んできたというのも原因のひとつかもしれないが、妊娠・授乳中に多くのカルシウムを必要とするため、ビタミンDを男性より多く合成させる必要があったからでは、ともいわれている。 お気づきのように、アフリカから発生した人類は、もともとみんな黒い肌をしていた。それが地域ごとの太陽光に合わせて適度な色合いに「脱色」した結果が、白や黄色といった皮膚の色。それをふまえると、現時点の肌色で人を差別するなんて、自らの歴史を否定するようで、ひどくむなしい。

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 宇宙天気予報が現実味を帯びてきたことを書いたのは、1998年、コラム執筆を始めて1年目の夏だった。いまではインターネット上で提供されているこの予報は、日々の太陽風と地球磁気圏の様子を知らせている。 太陽風というのは太陽から出る粒子の流れのこと。秒速300から800キロメートル、地球までおおむね3日前後かかる計算だ。地球の磁気圏と衝突した太陽風は、地磁気を乱してオーロラを見せたりするわけだが、激しいときは磁気嵐を起こす。 磁気嵐が発生するとなれば、宇宙飛行士は船外活動を控えて放射性物質を浴びる可能性を減らし、人工衛星も姿勢を変えて防御しなくてはならない。ふだんぼくたちは、地表からおよそ8万キロ上空までを覆う地球の磁場によって守られている。静止衛星の軌道は赤道上空約3万6000キロメートルだし、スペースシャトルはせいぜい高度400キロ。いくら宇宙といっても、そこはまだ宙空と呼ばれる地球磁場圏内なのだ。 さて、地球に磁場があるのは、地球が磁石になっているからだ。ただし地球内部は高温で磁力を帯びることはできないので、永久磁石をイメージするとちょっと違う。磁力発生の原因として有力視されているのが、流体ダイナモ説。地球の外殻部にある、高温になって液体のように流れている誘電性流体が、磁場を生んでいるというわけ。 地磁気は、1日のうちでも変動する。ぼくが生まれた日を調べてみると、地磁気的にはきわめて静穏な日だったらしい。寒い日で部屋を暖めたり産婆さんを呼んだりわが家ではたいへんだったろうが、それをとりまくこの地球の磁場はなべてこともなし、平穏に過ぎていたというわけだ。こういう巨視的な視点と小さな視点の出会うところが好きで、それを捜し求めつつこの4年間書き続けているのだったと、あらためて思う。本日、太陽風速毎秒569キロメートル、地磁気は平穏なり。

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