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ちょっと知的な雑学&トリビア

蚊と注射針

2002年11月11日 【コラム
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 手術をした父が言っていたが、麻酔の注射はとても痛いのだとか。痛みを感じさせなくする注射が痛いとはさて、痛くない注射はないものか。
 あるのである。蚊の針だ。蚊が血を吸うときに送り込む唾液には、血が固まらないようにする成分のほか、痛みを感じさせない成分が入っている。加えて、蚊の針は刺した瞬間も痛みを感じない。細いから、痛覚神経に触れる確率が低いのだ。蚊の針は全部で6本あるけれど、束にしても細い。この針を蚊は、突き刺すのではなく、のこぎりのような刃で、皮膚に切り目を入れるようにすき間を開けてさし入れる。
 蚊に習えと、痛みの少ない注射針の開発が進んでいる。大阪工業大学で開発された注射針は外径60マイクロメートルと蚊の口とほぼ同じ太さ。関西大学のチームではノコギリの歯のようにぎざぎざの針を開発中。
 蚊といえば、以前から気になっていたことがあった。蚊の主食は花の蜜などで、血を吸うのはメスだけ。産卵のための栄養を得るためだ。必要量はおよそ1mgと、体重の半分ぐらい。一度吸えば産卵までの数日は吸わない。そうと知ったのはいいのだが、それにしては一部屋に一匹しかいないらしいのに、何箇所も刺されたりする。どういうことなのか。
 今回調べてわかったのは、それは人間が動くからだということ。吸っている途中で逃げる羽目になり、1mg吸うのに4、5回は吸わなくてはいけなくなるのだ。うむむ、とすれば、自ら犠牲になりたっぷり吸わせてやれば、他の人が吸われることはないわけか。さて、他人を蚊の被害から守るため、自らの身を蚊に託すことができるだろうか。
 たっぷり血を吸った蚊は重みで動きが鈍くなるから叩きやすい。他人の血をたっぷり吸わせて、すかさず叩く戦略もある。いやはや、妙なところで自己犠牲精神を問われることとなった。

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7 comments to...
“蚊と注射針”
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小橋昭彦

蚊については「ムシテックワールド」の解説が充実。「ガイチュウバスターズWEB」「ウルトラ害虫大百科」もご参考に。注射針研究については、「関西大学工学部メカトロニクス研究室」「大阪工業大学バイオベンチャーセンター」での研究です。


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can

腕などに蚊が刺した時、力を入れると抜けなくなりますよね?いつもわざと腕に刺されてから叩いてます。あれは、皮膚が収縮するからなんでしょうか?


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池田 明

夜半にとつぜん吐く。嘔吐風邪だ。翌日にはけろり。うーむ、子どもの風邪は
わからないなあ。といいつつ、おとーさんにうつってしまいました。
<経験談について>
私の子供のことですが、小さいとき風邪をひき、嘔吐・下痢が激しくなり脱水症状でヒキツケを起こ死にそうになりました。
このような症状の時は、水分を十分与える必要がある。又は、早く医者に行き点滴等適切な処置をしなければいけないと、経験から学びました。いらぬお節介かも知れませんが、経験談を投稿します。


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たろー

麻酔の注射が痛いのは針のせいではなく、筋注(筋肉注射)だからでは?
静注で痛いのは、針を刺す瞬間だけですからね。

そういえば、この間(というか、ずっと前)行った歯医者さんでは、麻酔注射の前に歯茎にゼリー状の局麻薬を塗ってくれた為、麻酔注射が全く痛くなかったッスよ。


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ちょび

現在フロリダ在住。ここの蚊は日本の倍は大きく、さされると痛いことが結構あります。そんなに数はいないのでめったにさされませんが。それより蟻(fire ant)のほうが怖い。


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シンティマ

この蚊の針の注射器って言うのは実用化されているんでしょうか?もし進捗状況お知りであれば教えてほしいです。宜しくお願いします。


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小橋昭彦

大阪工業大学のは、バイオベンチャーセンター
http://www.oit.ac.jp/med/bio-mem/
での開発だったと思いますが、実用化はまだじゃないかと思います。関西大学のチームは、株式会社ライトニックスとして大学発ベンチャーとなり、
http://health.nikkei.co.jp/news/hea/heaCh.cfm?id=20050301e001y16801
の記事などみれば、実用化されている様子ですね。
この方向で実用化されて最近話題なのは、インスリン用注射針 (ナノパス33)
http://www.g-mark.org/library/2005/grand-kouho/05A10039.html
ですね。ただし、200マイクロメートルってことですね。ただ、これを作った町工場・岡野工業は、今ではすっかり有名になりましたね。
http://www.ifsa.jp/kiji-okanokougyou0312.htm




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 法事に来てもらった和尚さんから、数珠は計算機だと聞く。珠は煩悩の数である108つ。念仏を唱えるとき、ひとつづつ繰りながら唱える。ひとまわりすれば、二連になったもうひとつの輪の珠をひとつ繰る。こうして1万回唱えるときも、数を間違えなくて済む。 小学館の百科事典にあたってみると、数珠の原語はサンスクリット語「ジャパ・マーラ」で、念じる輪の意味。後に「ジャパ」が「ジャパー」と誤って伝えられ、これがサンスクリット語でバラを意味することから、西洋で直訳されてバラの輪、つまりロザリオとなったともいう。確かに形が似ているが、ラテン語でバラの花冠を意味するロザリウムが原語だとする異論もある。 数と起源つながりで、漢数字のルーツを調べる。なんと殷の甲骨文字。一は一だし、二は二。以下、現代の漢数字にとても似ている。3000年以上昔の文字をいまも使っているわけだ。ただし、読みはもう少し新しい。ひとつ、ふたつという和の読み方は別にして、いち、に、は呉の時代の読み方が入ってきたもの。 おもしろいのは、兆(ちょう)から上は韓式の読み方であること。中国の国が代わったとき、読みを新しい国に合わせようとして、ふだん使う桁は定着しなかったけれど、大きな桁は漢式にできたともいう。ただ、ややこしいけれど、桓河沙(ごうがしゃ)から上、より大きな数はまた呉音。これはサンスクリット語がルーツで、とすると仏教で用いられていたことから変えるにしのびなかったということだろうか。 ところで、現代の医学専門誌5誌を調べたところ、絶対的なリスクが4%から1%に減ったという事実を、「相対的なリスク軽減率75%」と説明するなど、強い印象を与える数字の使い方をしている論文が大半だったという。数字は、客観的に見えつつ、使い方によって読み手の心を左右する。操作されないためにも、数珠の珠でも数えて心を澄ませるか。

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