ざつがく・どっと・こむ
ちょっと知的な雑学&トリビア

2001年1月26日 【コラム
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 1月も終わろうというのにどうかと思わないでもないけれど、凧の話。まあ正月に凧というのは江戸時代からのことらしく、実際、古くから凧揚げの風習がある地方など、各地ではさまざまな時期に凧揚げ行事が行われている。長崎の「ハタ揚げ」は10月、浜松5月、熊本8月、沖縄では10月から11月。
 遊びとしての凧揚げが盛んになるのは17世紀に入ってからで、これは西洋でも変わらない。それまでは、たとえば厄除けだったり軍事目的だったり。漢の韓信が紀元前202年、楚の項羽との戦いで人を乗せた凧を利用したのは有名な話。
 起源は明確ではないが、紀元前400年ごろにはすでに中国で揚げられていたともいう。日本には9世紀ごろまでに中国から伝わっていたらしく、紙鳶(しえん)という名が文献に見られる。紙のトビ。英語のkiteと同じとらえ方だ。
 ちなみにたこの呼び名は江戸で広まったもので、関西ではもっぱらいかだった。英語は前述のようにトビだが、ドイツ語では竜、スペイン語ではすい星、ヒンディー語ではチョウが原義だとか。中国の凧はツバメ型だったりチョウ型だったり、輪郭が多彩。サイズも大きく、笛などの楽器をつけたりもする。
 ぼくの世代にとっては、小学生時代にさっそうと登場したゲイラカイトが思い出深い。1975年正月から日本を席巻した、アメリカゲイラ社のビニル製三角だこ。まっすぐ高く上がっていくのは驚きだった。その反面、たけひごをたわめ、あしの長さひとつに工夫を凝らしたあの喜びはなかったけれど。
 いま、人気上昇中なのがスポーツカイト。数本の糸で操つる。第2次世界大戦中に射撃の練習用に使われていた「ターゲットカイト」がルーツだとか(日経12月23日)。古来の凧も新しいカイトも、どこか軍事と関係しているのがおもしろい。

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4 comments to...
“凧”
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小橋

凧関連情報はまず「日本の凧の会」へ。民博の「東アジア・中国の凧」が有益。スポーツカイトについては「全日本スポーツカイト協会」があります。各地の凧揚げ大会は、「長崎」「浜松」「熊本」など。


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小橋

今日の没ネタ。今世紀、世界の平均気温は0.6度上昇(日経12月20日)。


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小橋

ごめんなさ0い、参照サイトの「長崎」をたどっていかれるとわかるように、長崎の「ハタ揚げ」のシーズンは4月から5月で、5月が最盛期。10月は市民ハタ揚げっていうイベントでした。


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たま

凧あげ、やりましたねー。
懐かしい気持ちで読ませてもらいました。
ひとつ質問なんですが、会社の同僚と議論(というほどでもないですが)になったんですが、「ゲイラカイト」ですが、同僚いわく、「ゲリラカイト」が正しい呼び名だというのだけど、どちらなんでしょう?
それとも別物?
(口頭でイメージを話した限りでは同じ物のようなんですが…)




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 スピードや効率が叫ばれる時代だからだろうか、「ムダ」がなんだか恋しい。何もしなくていい春の午後、草にのんびり寝そべって、空を見上げていた少年時代を思い出す。 類焼見舞いに来てくれたとあるプログラマーに今なにやってるのと聞くと、「役立たないムダなプログラム作ろうと思って」と言う。徹夜でやっていてふと気づくと役立つものを書いてしまっている、これはいけないと削除する。そんな話。冗談かとも思うけれど、そんな考え方はなんだかすてきだ。そもそも、このコラムだって雑で役立たない、が本来の主旨。 とはいえ、税金をつぎ込んでいる研究に「ムダ」があるのはいただけない。総務省の行政監察の結果、そんな研究が旧農水省管轄下の7研究機関で37課題あった(朝日12月18日)。別々の機関で同じ研究をしていたり、緊急性・必要性が高いとは思われない研究があったり。 たとえば「ニガウリ等のつる性野菜・花き栽培が屋内環境に及ぼす影響」という研究がある。結論は、「日よけになる」。いや、笑い話ではない。研究に従事した人にはそれなりの理屈もあるのだろうけれど、さて、あえて調べるほどのことなのかどうか。 ムダの無い世の中は息苦しそうだけれど、せめて自分の懐、時間をつかってにしないとね。

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 トラ、と自分のことを言うからお父さんはと聞くと、ヘビ、ともうすぐ3歳の息子。そう、今年は年男なのである。 それにしても、干支の中でもヘビっていうのは表現しにくい。かわいいと思う人より、好きでない人のほうが多いのではないか。古代から毒蛇を嫌ってきたのが心の底に刻まれているのかもしれない。 一方で、ヘビは神聖なものとして祀られてもいる。屋根裏に住むアオダイショウを家の神としたリ。ネズミを退治してくれることから、ことに農家で重宝されもしたのだろう。 世界でも、ヘビが崇拝の対象やシンボルとして登場しない民族のほうが少ないという。旧約聖書ではヘビは誘惑の悪を表しているが、マタイによる福音書には「蛇のごとくさとくあれ」とあり、その賢さを見習ってもいる。 初夏の夜空を彩るへびつかい座は古代ギリシアで医聖と呼ばれたアスクレピオス。ヘビは何度も脱皮して若返ることから再生と不死身のシンボルとなっており、そこから治療を象徴することになった。ヘビの皮や血、脂肪などは、それ自身薬として重宝されてもきた。 へびつかいといえばインドのそれ。実際に何代も続く蛇使い一族があり、親から子へ受け継がれている(朝日12月23日)。 少年時代、ヘビのしっぽをつかんで振り回していた友人が、今へびを見るとひるんでいる。ヘビへのアンビヴァレント(両義的)な思いは、人類だけではなく、ひとりの中にもある。

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