小橋 昭彦 2001年7月24日

 昨日のテーマが「上履き」で今日が「したばき」。ねらったわけじゃないけど、いや、まあちょっとは狙ったとしても、下履きならぬ、下穿の話。
 ローライズパンツを履いていると、どうしたって浅いまた上から下着がのぞきそうになる。だったら見せることを前提にした下着を、というのが若い女性の工夫。男の子がトランクスを見せているのには閉口したものだけれど、こちらはさて。
 下着を見せる流行は現代に限った話ではない。フランス革命当時のフランスでは、イギリスから伝わってきた「ストリップ・モード」なるものが流行したという。コルセットもパニエも捨て、いかに薄く着るかを競ったもの。婦人服の全重量は靴や装飾品を入れても約230グラム以下でなんてルールがあったほどだから筋金入りだ。いや、ガーゼのヴェールだけをまとってパリのティルリーの庭を散歩した銀行家夫人もいたというから、筋金を入れる余裕さえないわけだけど。
 ちなみにそれより以前、17世紀のフランスでは、下着はたいそう重いものだった。なにせ金銀のレースをつけるなどぞんぶんに装飾されている。洗濯が気になるところだけれど、水で洗うことは健康に良くないと考えられてもおり、概して不潔だった。美しくても清くはなかったわけだ。
 洗わないといえば、スペインのイサベラ女王の伝説も残る。1601年に夫が闘いをはじめたとき、成功するまでは下着を替えないと神に誓ったという。けっきょく闘いが終了したのは1604年。そのとき下着がどうなっていたかは、あえて想像しない。
 ついでに相撲のまわしも洗わないけど、水入りにならないよう縁起をかついでとも、十両以上のまわしは絹でできていて高価だからともいう。
 とまれ下着は、衛生面、機能面とともに、美的な面もかねそなえつつ発展してきた。ローライズからのぞく下着も、なにかを主張してはいるのだろう。ま、なにを主張しているかくみとろうとじっくり見ることだけはしないでおく。

4 thoughts on “したばき

  1. テレビCMで、大変きれいな色調と花柄プリントのブラ
    &ショーツの女性を見ながら、22歳の娘に言いまし
    た。

     父「お前達おんなはいいよなあ。可愛いのや奇麗な   
       のや、、、いろいろ選べて」
     
     娘「買ってくれたら着て見せてあげるよ」

    買うのだったら別のひとに。
    見せてもらうならそのひとに・・・の言葉は飲み込み
    ました。

  2. スペインのイサベラ女王の話で、高校時代を思い出しました。1年生の時に日本史と世界史を学び、2年生からはどちらかを選択・・・、となっていたのですが、世界史の先生がいろんな歴史の裏話をしてくれるのが面白く、世界史を選びました。スペインのイサベラ女王の下着話や、中世ヨーロッパのお城のトイレ事情など、いろいろ聞かせていただきました。今回のコラムで、懐かしい記憶が甦りました。ありがとうございます。

  3. ちーさん、そんないきいきした授業をできる先生っていいですねえ。

    そういえばこのコラムも、ときに授業で紹介したりしているという先生からのメールをいただいたりして、とても嬉しく思います。それがきっかけで、授業が好きになった生徒さんなどいらっしゃると、しあわせだなあ。

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