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ちょっと知的な雑学&トリビア

スパイス戦争

2001年3月12日 【コラム
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 世界の4大スパイスといえば、こしょう、シナモン、クローブにナツメグとされる。いまでこそありふれた商材だけれど、かつてはこれら香料が世界を動かしたこともあった。
 ナツメグはメースとともに「にくずく」という熱帯性植物からとれる。産地はインドネシアの奥地モルッカ諸島。ヨーロッパでは手に入りにくく、たいへんな価値があった。ナツメグの袋詰ひとつで家が買えたとか、貿易に携わる荷役労働者はポケットのない作業服を義務付けられたなんて話も伝わる(朝日2月11日)。
 コロンブスが、間違ってアメリカ大陸の一部を発見することになる、西への航海に出たのも、モルッカ諸島のスパイスとジパングの黄金がおおきな動機。マゼランが初の世界一周をめざしたのもスパイスが理由。彼亡きあとようやく母国にたどり着いたビクトリア号には、スパイスがたっぷりと積まれていた。その販売益は、多くの乗組員や僚船の喪失を補ってあまりあるものだったともいう。
 スパイスが生んだ大航海時代。「香料諸島」の利権をめぐるスペインやポルトガル、そしてオランダやイギリスを交えての争いは「スパイス戦争」とも呼ばれている。17世紀半ばまで続く、血なまぐさい時代でもあった。
 いま、スパイスの香りは、せいぜい街角のカレー屋に足を向かわせるまでで、ぼくたちを大航海にいざなうことはない。そのカレー屋で手にした新聞で目にする、菓子のおもちゃを恐喝、なんていうニュース。スケールの違いはあれ、人間は今日も貴重品をめぐって争っている。

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3 comments to...
“スパイス戦争”
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小橋

スパイスについては、「スパイス&ハーブ」が充実。あと、どきどき楽しく読める歴史書『スパイス戦争』がおすすめです。


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村田 尊彦

 スパイスの発見以上に、大発見だったのが、コロンブスの新大陸発見。このアメリカ大陸原産の様々な野菜たちがその後のヨーロッパを変えたといっても過言ではない。
 伝播した野菜でいうと、トマト、ジャガイモ、唐辛子、ピーマンなどなど、いずれも、その後の欧風料理には欠かせないものばかりである。ジャガイモなどはヨーロッパの飢饉を救ったし、唐辛子は最果ての朝鮮半島にまで伝わってゆく。コロンブスが新大陸を発見しなかったら、キムチは辛くなかったかもしれないのだ。


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小林 正道

突然で申し訳ありませんが、
お土産でSUBJA SEEDS(TUKMARIA)という
インドのスパイスを友人から受取りましたが、
友人もどのようなものか知らないので
もしご存知でしたら、教えてください。




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 降り続く雨を眺めながらちょっともの思いにふける。小説やドラマでは、雨模様は内省的な日として描かれることが少なくない。 気圧の低い日は、心拍数が少なくなり、気分が沈静化する傾向がある。逆に気圧が高いと心拍数が増えて高揚した気分になる(朝日2月9日)。これをふまえると、雨の日に内省的になるというのも、それなりに納得のいく設定ではある。 気候が心理に与える影響といえば、もうすぐ近づく春もそうだ。冬の寒さからもうすぐ解放される、その期待が心を浮き立たせる。おまけに日照時間が長くなっていき、太陽の光をふんだんに浴びる。ホルモン分泌の関係で大脳が刺激を受け、性衝動も高まり、恋の予感に心をふるわせる。 確かに光が松果体やメラニン分泌に影響を与えるのは事実で、睡眠障害等の治療に光照射療法なども知られている。ただまあ、天候に左右されるばかりじゃないのも人間。『雨に唄えば』のジーン・ケリーを思い出しつつ、雨の日もちょっと楽しい気分になる。

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