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クジラが歩いていたころ

2002年6月30日 【コラム
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 定期購読している科学誌に「クジラが歩いていたころ」と題した特集があり、そういえばここ数年新しい発見が続いていたと思い出す。哺乳類であるクジラが魚のような姿になったことは、よく収斂(しゅうれん)進化の事例として取り上げられる。違った種であっても、環境が同じなら似た形態になるという進化のあり方だ。
 海に入る前、クジラには足があった。現在の偶蹄目と近いとされる。ラクダやウシ、ブタなどが含まれる目だ。東京工業大学の岡田典弘教授らによるDNA分析によると、クジラにもっとも近いのはカバだという。かつての共通祖先から、まずラクダの仲間が分岐し、次にブタやイノシシ、そしてキリンやウシ、最後にカバ、クジラの順で分岐していったとか。
 こうした進化の証拠となる化石は、岡田教授によるカバ仮説が発表されて後、2001年に見つかっている。古代のクジラ、ロドケタスの足首の骨がそれ。偶蹄類に共通した特徴が見られたのだ。もっとも、カバに近いといっても、ロドケタスは今のワニのような、なかなか恐ろしげな口をしている。
 ロドケタスの体長は約3メートル。いまのシロナガスクジラは33メートルあるから、5000万年の月日をかけて足は退化し、巨大化してきたわけだ。ロドケタスの時代、インド大陸はまだ漂流中で、アジア大陸に衝突してヒマラヤ山脈という巨大な壁を作るのはさらに2000万年ばかり後になる。
 国際捕鯨委員会の推定によると、シロナガスクジラはいま、南半球で400頭から1400頭頭と絶滅の危機にある。捕鯨禁止で同じ海域におよそ76万頭と急増したミンククジラの影響を指摘する向きもある。捕鯨の是非が、さまざまな主張が入り混じって混乱しているのはご存知の通り。
 動物園でカバを見るたび、クジラのことを思い出す。そして、5000万年という年月のことを考える。ぼくたちは5000万年後、どんな姿に進化しているのか。そもそも生き残っているのか。するとカバはきまって大あくびをして、頭ばかり大きくなったぼくたちのことを笑うのである。

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3 comments to...
“クジラが歩いていたころ”
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小橋昭彦

科学誌というのは日経サイエンスです。「クジラが歩いていたころ」をご参考に。岡田教授の研究については「クジラ類と偶蹄類の系統解析」にわかりやすく説明されています。「ギングリッチ博士」の発見した骨と、ロドケタスについては「Science September 19 2001」をどうぞ。同号の「表紙」も飾っています。クジラに関する各種情報がよくまとまっている「クジラ」もご参考にどうぞ。あと、捕鯨関連はさまざまにサイトがあるので、とりあえず「国際捕鯨委員会」と「水産庁捕鯨班」を紹介しておきます。


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箭内克俊

捕鯨の裏には大きな謎があるのですね。


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たけお@沖縄

楽しく読ませてもらいました。

果たして、クジラはカバの進化か退化か?

悩ましい問題です。

海に生息することで、外敵から逃れたのか。

陸で豊富な餌がなくなり、海に豊富なそれを求めて

いったのか・・・・?

想像するだけで、夜も眠れないくらいわくわくしま

す。

小橋さんの記事にあったように、クジラの足は、「退

化」したのか。はたまた、「進化」の結果のなのか。

広がりのある、素晴らしいテーマでした。




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 いま利用しているコンピュータは、暇になると地球外生命探しをしている。もちろんどこかに出かけるわけじゃなく、電波望遠鏡のデータを解析し、地球外生命が発したと思われる有意の信号を探しているのだ。同じようなことをしている人が世界中に400万人弱いて、ネットでつながれて分担している。プロセッサの処理時間を累計すると100万年以上になるというからすごい。 この計画、SETI@homeというプロジェクト。ご存知の人も多いだろう。インターネットがあれば誰にも参加できる。パソコンの遊休時間を利用して分散処理をさせる。こうしたやり方は、ほかにも大きな素数を見つけるプロジェクトや、タンパク質の解析などのプロジェクトで採用されている。 それにしても、そもそも地球外生命の存在確率はどの程度なのか。その数を見積もるのが、天文学者のフランク・ドレイクが提唱したドレイクの式として知られているもの。1年に銀河系で生まれる恒星の数に、その恒星が惑星を持つ確率をかけ、生命の生存可能な環境を持つ惑星数と、そこに生命が発生する確率、それが知的生命まで進化する確率、さらに文明社会まで発展する確率をかけ、最後にそのような文明社会の寿命をかける。 これらのうち、恒星数や惑星数はおおむね共通認識ができている。生命が発生する確率や、それが知性や文明まで進化する確率も最高で1。というわけで、この式でもっとも不確定な要因は、文明社会の寿命だ。短ければ、ふたつの文明が出会う可能性は限りなく低くなる。せっかくぼくらが耳を傾けているのに、星のかなたに居たはずの誰かは、すでに滅びているかもしれない。 だから。子どもが保育園で七夕伝説を聞いてきた今日、地球外生命探しのソフトウェアを走らせながら、人と人も手をとりあい、少しでも文明を伸ばしてくれるといいと思う。何千年か、何万年か、何億年か未来、この銀河のどこかでだれかが、ぼくたちの声に耳を澄ませるかもしれないから。

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