小橋 昭彦 2001年11月14日

 珠玉のような作品が書けたら、なんてかなわぬ思いを抱きつつ、ほんとうの珠玉といえばやはり真珠かと文字から連想している。
 貝があのように美しいものを生み出すなんて神秘的だが、世界大百科をひもとくと「貝殻を作るのと同じしくみ」と記述があり、なんだか納得した。真珠は内側から殻皮層、稜柱層、真珠層よりなっており、これは貝殻と逆の順序なわけだ。なるほど、そういえば貝の内側は美しいし、黒真珠が採れるクロチョウ貝を開いた写真を見ると、黒い光沢を放っていたりもするのだった。
 天然真珠を生成する貝はおよそ1000種類あるという。古代エジプトではすでに装飾品として利用されており、真珠を飲み干したというクレオパトラの逸話が有名だが、中世ヨーロッパでは医薬としても利用されている。中国でも漢方の材料として知られ、楊貴妃が口にしていたと伝わる。炭酸カルシウムが成分なので、からだに良いというのも、あながちはずれているわけでもない。
 日本では1890年代に御木本幸吉がはじめて養殖に成功している。そういえば修学旅行で訪れた三重県に記念島があった。旅行前の学習で真珠のことも調べたっけ。今ではすっかり忘れている。真珠のオンラインショップを開いていたPさん、退院されたと連絡もらったけど、その後いかがだろう。
 真珠について書こうとするうち、文章はあちらへこちらへ飛び、珠玉からどんどん離れていく気がする。珠も玉も「たま」とよむ。すなわち「魂(たま)」。心をこめて書き連ねていれば、いつかは珠玉に出会える日もあるだろう。何も文章に限った話ではないが。

4 thoughts on “真珠

  1. こんにちは。はじめて、コメントします。
    鹿児島のぎーといいます。今こっそりと今日のメルマガを読んでいます。仕事中なのです。

    最後の言葉は、心にしみました。

    真珠は、今日偶然にもネックレスして、つけてます。
    かなりタイムリーでした。
    いつも、楽しめる内容、興味をひく内容のメルマガありがとうございます。楽しみにしています。

    では、また。失礼します。

  2. これからも、私の一日の中の「やすらぎのひと時」を届けて下さい。

  3. 「珠玉」と対になる語に「白玉」があります。
    珠玉は音読みですが、白玉は訓読みもします。
    そう、あの白玉団子の「しらたま」です。
    どちらも中国で古代から珍重されている半貴石の「玉」(ぎょく)の1種です。
    真珠はイメージとしては珠玉より白玉に近いでしょうね。

    「白玉」とくると、次に続くのは「の傷」、
    すばらしいものは傷つきやすいのです。
    しかし、これはあら探しをしがちな人間の性の表れととれないでしょうか?
    美女の「玉のような肌」にも「白玉の傷」。
    果たして花の命は短いのか、
    欠点ばかり見つけたがる皮肉な視線なのか・・・?

    今年は秋からパールネックレスが流行しています。
    といっても、フェイクですが、
    お値段が手ごろなのによく出来ています。
    お店ではよく見かけますが、まだ街には少ないみたい。
    私も1m50くらいある長いものを1本買って
    いろいろな使い方をしています。

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