小橋 昭彦 2020年6月25日

人の名前ということで言えば、文化によってさまざま。

ちなみにぼくの名はアキヒコだが、「ヒコ」というのは日子からきており、もとは尊称だったと『名前の日本史』(木田順一郎)にあった。

 

女性名につけられる「子」は嵯峨天皇の時代に内親王につけたのがきっかけ。

明治半ば以降、女性の生き方の可能性が拡がった時代に、「子」とつける事例が増えた。今では少なくなったが、抜くことが増えたのは高度成長期から。

 

幼名に多い「丸」は便器の「おまる」からという。あえて汚い名前をつけて悪霊を退散させる「辟邪(へきじゃ)名」だ。「麿」「麻呂」もこれが転じたもの。高貴に感じていたこれらの名前の意外な側面に驚かされる。

 

留学生のホームステイを受け入れていると、名前で学ぶこともある。

 

モンゴルからの留学生は「ファミリーネームがない」と言う。ダーツが得意な子で、京都であった大会に参加したとき、受付簿に姓・名の記入欄があり、困って自分の名を二つに割って書き入れていたのを思い出す。姓にアキ、名にヒコを書き入れるようなもの。

 

このコラムを書くにあたってあらためて調べてみると、確かにモンゴルでは名前しか持たず、どうしても必要な場合は父の名を前につける。「誰々の子何々」という次第。

遊牧民は個々の存在を重視していたからかと想像して調べてみたが、古代のことはよく分からなかった。近世で言えばむしろどの氏族に所属しているかが重要で、1921年の革命以前は氏をつけていたのを、その影響を省くために廃止した経緯がある。

現在は復活させる方向にあるようだが、留学生の例をみると定着というには遠い様子。

 

アメリカ西海岸から受け入れた留学生は「誰もが話題にしている」という意味の長い英語がファミリーネーム。EBTAと略していた。

ネイティブアメリカン系だったので、その昔『セブン・アローズ』で読んだ、名前に聖なるもの(メディスン)を表すという逸話を思い出した。尋ねてみるとそうではないとのことだったけれども。

 

さまざまな研究が、名前が教師の態度や上司の評価をはじめ、人生に影響を与えることを示している。あなたの場合はどうだったろう。

名前がもたらす影響を省こうと、採用過程で写真や性別、名前を隠して行う企業も出てきている。匿名とは本来、こうして人を守るためにある。

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5 thoughts on “さまざまな名前

  1. 名前に関する過去のコラムでは、「名前の力(2002.9.12)」「名づけ(2003.9.10)」があります。この時のコメントで紹介している書籍のほか、『名前の日本史』(紀田順一郎)も参照しました。また「長い名前(2001.7.5)」について紹介したこともありました。

    名前に関する研究では、たとえば「奇抜な名前が社会的評価の印象形成に及ぼす影響」や「Names, Expectations and the Black-White Test Score Gap」などが、リーダーシップ性評価や教師の態度が変わることを示しています。

    その他、以下の記事に先行研究が手際よく紹介されていますので、ご参考に。「13 surprising ways your name affects your success」「10 Ways Your Name Affects Your Life」。

  2. Anderson なども、アンデルの息子でアンデル sonですし、マレーシアの方でも同様に名字はなく誰それの子供のなにそに、みたいな言い方は残っていると以前マレーシアのど田舎出身の方に聞きました。
    また、日本でも村全体が同じ苗字で、苗字の代わりに職業だったりランドマーク(栗の木の…とか)が枕詞についた呼び方もよくありますよね。

    そして昨今の#BLMの話の中で就職の履歴書の名前が伝統的にアフリカ系アメリカンに良くある名前だと書類選考で弾かれる、なども改めて話題になっていますね…

  3. 誰それの息子パターン、案外あるのですね。どこそこの出身パターンもあるとFBコメントで知りました。

    そう、 #BLM 関連でも名前による先入観あるようですね。今後どうなっていくのでしょう。

  4. 個人的には現在小学生、未就学児じぇのランニングクラブコーチをしていますが、子供たちの名前、本当に読めなくて困ります…。

  5. 立場上、こども園の入園式に呼ばれたりするのですが、同僚は毎年、園児リストを見ながら、呼名の際、答え合わせをしています^_^

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