今回の挑戦者はトレンドマイクロ株式会社。お題は初心者にも人気が高い同社のセキュリティソフト『ウィルスバスター2006』です。2005年版とくらべても機能を大幅に強化、フィッシング詐欺をはじめとするさまざまな危険に対応、万全なセキュリティ対策を行うことができ、しかも今フル機能が無料で試せるという同社の製品。さて、ザツガク的視点からはどのように切り取れるか。コラムをお楽しみください。
セキュリティが重視されるこの時代、対策ソフトを利用していない人はいないことと思う。代表的なのが『ウィルスバスター2006』。今ならフル機能を無料で試せるが、ウィルスはもちろんのこと、正式なサイトと偽ってクレジットカード番号などを盗もうとするフィッシング詐欺や、知らない間にパソコンにセットされて個人情報を吸い上げるスパイウェア、そして迷惑メールなど、さまざまな危険への対処機能を享受できる。
おかげでインターネットを利用する上で、ぼくたちはおおきな安らぎを得ることができる。ところでこの安心感、情報社会にあってちょっとばかり不思議な性質だと感じている。それというのも、この安心感は、ある意味で情報の流れを遮断することによって得るものだからだ。外部から流入するウィルスや迷惑メールを遮断し、内部から流出しようとする個人情報をくいとめる。ぼくたちは、情報を限定することで安息を得る時代への入口にいるのかもしれない。
ぼくたちが生きる現実をどう扱うかには、いくつかの立場がある。代表的なのは、仮想の現実を形作る「仮想現実」だ。オンラインゲームや映画の特殊撮影など、この分野の発展は著しい。これに対して最近注目されているのが、リアルな世界に情報を付加する「強化現実」。特殊な眼鏡で自分向けの展示品説明を見る博物館や、土の中の配管を「見ながら」道路工事をするなど、用途は広がる。
食品の栽培履歴を知るトレーサビリティがそうであるように、これまでぼくたちは、情報をより多く得て安心を築こうとしてきた。ここに新しい見方をもたらすのが「限定現実」だ。今、ぼくたちはむしろ情報を「限定」することの必要性を感じ始めている。少なくともインターネット上では、『ウィルスバスター2006』がもたらす安心感がそうであるように、限定現実は不可欠の技術になった。迷惑メールを見分け大切なメールを見逃さないなど、ぼくたちは真実に迫るために、情報を限定する。
『ウィルスバスター2006』。それは現実の強化を求めつつ、一方で限定することも必要なこの時代にあって、真実に迫る必携の道具ということができるのではないだろうか。
by 小橋昭彦 : 06年06月28日