小橋 昭彦 2018年9月3日

世界の先端サービスを毎日ひとつ紹介してきた「百式」が8月末で更新を終了した。同時期に情報発信を続けていた仲間として、本当にお疲れ様と言葉をかけたい。

この「今日の雑学」は長期休載を重ねつつも、終了とアナウンスはしていない。往生際が悪いものである。

定期的な更新を休み始めたのは2005年頃だから、それから2018年までといえば、スパゲティの乾麺がきれいに2本に折れない謎が解明されてから、折る方法が発見されるまでの期間に相当する。

ほどなく今年のイグ・ノーベル賞が発表されるけれど、2005年のスパゲティ論文は同賞を受賞している。その内容を簡単に言えば、折れるときのたわみが起こした波の力によって、また折れてしまうという。

で、それを防ぐには、というのが今年の新発見。乾麺をおよそ一回りねじったらいいらしい。ねじれた状態から戻ろうとする力が、波の効果を弱めるわけだ。

スパゲティ問題の新研究が今年のイグ・ノーベル賞をとるかは分からない。今年はピザ問題でも新たな発展があった。ピザを食べやすい形でたくさんに切り分ける方法だ。

中心から放射状に等分割する方法では、増やすにつれてヒモのようになって食べづらい。そこで、中心かららせん状に分けていく方法を基本に、多角形をとっていけば、どんどん小さくできる。

ま、現実的には、スパゲティを二つに折ることも、ピザをそれほど小さく切り分けることも無いと思うのだけれど、こういう研究は、数学の楽しさをぼくたちに教えてくれる。

食卓で、ふと数学を楽しむ。そんな、日常の中に知的な喜びをもたらしてくれるのだ。「百式」もまた、そんな喜びを日々にもたらしてくれるサービスだった。

ありがとう、さようなら。

2 thoughts on “スパゲティあるいはピザ問題

  1. さようなら、「百式」。

    2005年のスパゲティ論文は「Fragmentation of Rods by Cascading Cracks: Why Spaghetti Does Not Break in Half」に。イグノーベル賞での紹介は「Physical Review Letter on Breaking Spaghetti Leads to 2006 Ig Nobel Award」です。2018年のスパゲティ論文は「Controlling fracture cascades through twisting and quenching」に。WIREDの日本語記事「スパゲッティを完璧に「2つに折る」方法、MITの研究者が発見」が分かりやすいです。

    ピザ問題は「Infinite families of monohedral disk tilings」が論文。Gigazineの日本語記事「数学者が発明した「ピザを平等に食べやすくカットする方法」」が分かりやすいです。

  2. 「百式」クローズ、感慨深いです。

    ま、私も年金生活スタートですし、だいぶ時間もたったということですね。

    知恵クリップ 先週あたりからブログ配信を再開しています。知識カードのMIMASearch適用を最近は模索しています。まだ技術面でうろうろしている段階ではありますが。

    MIMASearchシラバス構造化システム http://mimasearch.t.u-tokyo.ac.jp/manual/mima/index.html

    上に下記の記事(=知識カード)を載せようという試みです。
    iCardbook|知の旅人に – 関心と興味の外に広がる、「知の世界」へ ようこそ http://society-zero.com/icard/

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