小橋 昭彦 2001年7月3日

 日本の五大昔話、あるいは五大お伽噺といえば、桃太郎、花咲爺、舌切雀、猿蟹合戦、かちかち山とされている。誰が定義したのかは調べがつかなかった。いずれも江戸時代から語り継がれてきた人気のある話だ。
 なかでも桃太郎は、英雄譚としても楽しく、人気が高い。発祥の地として知られているのは岡山。もっとも、全国には桃太郎伝説の発祥地とされる地がニ十数カ所あって、伝わる話は、土地によって細部が少しずつ違う。
 たとえば岡山の場合は、吉備津彦が鬼ノ城にこもった温羅(うら)という鬼を退治する話がもとになっている。「どんぶらこどんぶらこ」で始まるおなじみの話に近いのは愛知県犬山市の桃太郎。香川県高松市に残る桃太郎はおばあさんではなくきれいな娘が川で洗濯している。
 どこがほんとうの発祥か、というより、日本全国にこうしていろいろな桃太郎が存在した、というのが楽しい。自分の子どもに桃太郎を語り伝える、彼にとっての桃太郎の発祥はここ、親子の間にある。それで充分だし、それこそが桃太郎のいのち。

8 thoughts on “おとぎばなし

  1. 今日の没ネタ。元禄時代、妻から夫への三くだり半も(神戸6月16日)。枕草子の時代からの知的な楽しみ「○○づくし」(神戸6月15日)。

  2. 浦島太郎は5大おとぎ話には入らないのかなあ?
    最も心に残っている話なんだけど・・・??

  3. 暑い日が続く愛媛県からです。
    ほんと、日本には色々な伝承があり、旅したときの思い出にもなりますよね。
    ところで、それらの多くは、正義の味方は権力者の側で、鬼なんかの悪者とされるものの多くは、地方の民であることが多いと思います。 地方への侵略行為を、中央の政府が正当化しようとして創られたものが多く、そういうことを知ってしまうと、鬼の味方もしたくなったりします。 鬼の中にもいい鬼もいたんだろうに・・・。

  4. ぼくも浦島太郎は、なんて考えちゃったんですが、調べていくと、どうも浦島太郎は昔話より伝説という文脈で紹介されます。百科事典には、古典文学のひとつ、なんて説明も。「むかーしむかーし」と口承されてきた昔話とは違う伝わり方をしてきたということかな、と判断しました。竹取物語に近いっていうか。

    ごめんなさい、これは現段階でのぼくなりの理解です。

  5. 鬼というと赤鬼が最初に浮かびますが、赤鬼というのは天然痘によって体中が赤くなるのを忌んでできたという説があるそうです。
    隼人や蝦夷の征討をそのような物語にして正当化していったものもあれば、庶民の病魔への恐怖からできたきた話もあるといったところでしょうか。

  6. 浦島太郎の話が出て、思い出したことがあります。

    いつだったか随分前ですが、
    浦島太郎伝説は本州の人間が琉球という当時の異国に行った話だというのをテレビで観たことがあります。
    そういえば乙姫様の衣裳は中国風だし、
    竜宮城の門は琉球や中国に似ているし、
    海亀が連れて行ってくれたのだから
    海の向こうの島(または大陸)の可能性大。
    番組は結構納得できるつくりでした。

    ところで、小田急線の片瀬江ノ島駅は
    竜宮城をイメージして作ったそうですが、
    変な建物で記憶に残ります。
    建てかえても、子供の頃からずっとあのデザインだったな...

    桃がおいしい季節になりましたね。
    それで桃太郎?

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