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世紀の大彗星 アイソン彗星

2014年5月09日 【今日のR

先日、所属している高校の理科部で観望会をしました。暗くなりかけたころから学校の屋上に上がり、天体望遠鏡をセットして空を見上げます。その日は入部以来二回目の観望会。一回目には国際宇宙ステーションを偶然観測でき幸先のいいスタートでした。。二回目の観望会も天候に恵まれ、この日は初めて自分で望遠鏡を動かして星を観測しました。観測したのは土星です。初めて観測した土星は小さかったですが、くっきりと土星のリングが見え鳥肌が立ちました。

数か月前、話題になっていたアイソン彗星。世紀の大彗星といわれ興味を持たれた方も多かったのではないでしょうか。アイソン彗星は誕生以来一度も太陽に近づいたことがなく太陽系誕生のころの情報をそのまま冷凍保存していると考えられ、太陽系誕生の謎を解くカギとしても期待されていました。彗星は氷と岩石でできておりそのほとんどはオールトの雲と呼ばれる太陽から十兆キロも離れたところからやってきます。太陽に近づくにつれて温度が上がり氷が蒸発していくことで、あの綺麗なほうき星が見えるのです。では、このアイソン彗星から分かった太陽系誕生のころの歴史をご紹介します。

アイソン彗星には、カンラン石と呼ばれる物質が含まれていました。この物質は千五百度以上の高温でないと作られません。しかし、今彗星のもとがあるオールトの雲は全てのものが凍りつく極寒の世界です。このことから分かるのは、太陽系誕生の頃、彗星は太陽の近くにあったということです。これがなぜ、現在太陽から十兆キロも離れたところにあるのでしょうか。 それは惑星大移動という、一見信じがたいような現象で説明ができます。この説は、太陽系誕生から五億年近くがたった時。土星と木星が同じ周期で接近するようになり共鳴という現象が起こり、質量の小さい土星が外側に押し出され、さらにその外側にあった海王星や天王星もさらに外へと押し出されていく。そして、惑星になることのできなかった彗星のもとが大量にあるところへと惑星が突っ込み、惑星から程よい距離にあったものが、惑星の重力により加速し外側へとはじき出され、今のオールトの雲が出来上がった、というものです。

残念ながらアイソン彗星は太陽に最接近した際、消滅してしまいました。肉眼で見ることのできる彗星はだいたい十年に一度くるそうです。次に彗星を肉眼で見るときに、一回り大きくなった自分はいったい何を思い空を見上げるのでしょうか。今日のことを思い出すかもしれませんし、さらに未来のことを考えているかもしれません。星は人の心を未来へと運ぶ、そんな不思議な力を持っているのではないでしょうか。

「R」




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Spring-8は世界で三つしかない大型放射光施設の一つであり、その中でも世界一といわれています。僕が施設内に入って最初に驚いたのはSPring-8が発する熱の量です。なんと、リング一周で500wの電気ストーブ約2000台にもなる熱を発生させているというのです。そのため、発生した熱を冷却するのに液体窒素が使われ、多い時では一日で400ℓの液体窒素が蒸発してしまうそうです。

さて、昼食後SPring-8の隣にあるSACLAという、これまた世界一と言われるX線自由電子レーザー施設を見学に行きました。spring-8を礎とし、得意の小型化で諸外国では数キロメートルの規模で計画されていたものを700mで実現するという、まさに日本の技術力の総力を挙げて作られたのが、このSACLAです。ではなぜ、これらの施設は注目されるのでしょうか。

SPring-8もSACLAも施設の名前こそ違いますが、簡単に言えば光を発生させてより小さなものを見るために作られた施設です。SACLAでは、電子を加速器によって光の99%にまで加速させ、これにより猛スピードで進む電子の向きを変えることで、強力な光を発生させています。皆さんも顕微鏡を使ったときに経験があるかと思いますが、より倍率を上げて小さなものを見ようとすると、見ているものが暗くなってしまいます。 SACLAやSPring-8ではナノレベルでものを見るので、より強い光が必要になるのです。なので、このように大きな施設を使い、太陽の一億倍以上にもなる光を発生させています(この光の力は原子の構造を壊してしまうほどだそうです)。これにより、近年小型化が進むコンピュータ部品など、二十一世紀の科学技術の基盤としてSACLAやSPring-8が注目を集めているのです。さらに、従来のX線写真では見ることのできなかった筋肉。施設公開の時の講演会で出てきたのはカエルの筋肉でしたが、それもSACLAを使えば非常に細かなところまで見えるんだとか。これは今まで治療法がなかなか見つからなかった筋肉の弱まる病気の薬の開発に大いに役立つと考えられています。

このように、科学技術のみならず医療の分野にも幅広く活躍が期待されるSACLAとSPring-8。これからも技術立国日本を支えてくれることでしょう。ここから果たしてどんなテクノロジーが生まれてくるのか。明日にも大発見は起こっているかもしれません。

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音を届ける方向を絞る技術は実用化されているけど、なるほど、マジックミラーの音版は案外難しいのか?

ここに「時間反転対称性」がからんでくるのがおもしろい。
テキサス大学オースティン校の電気工学者アル(Andrea Alù)らは1月,一方通行の音伝達を実現できそうな装置に関する研究結果を発表した。「音響サーキュレーター」というこの装置は電気通信やレーダーに使われているアイソレーターに似ている。アイソレーターはマイクロ波や電波の流れを一方向に制限するもので,磁場を印加した物質に電磁波を通す。磁気的に変化した物質を通ることで,電磁波の時間反転対称性が破れるのだ。

引用元: 一方通行の音〜日経サイエンス2014年6月号より | 日経サイエンス.

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